作り置きはせず その日仕入れた食材でライブ感のある料理を提供する
お二人だけのオリジナルメニューでゲストをおもてなし
ブライダルポンテベッキオには決まったコースメニューはありません。
シェフとの打ち合わせで、毎回お二人だけのオリジナルコースを考えていきます。
旬の食材をふんだんに取り入れ、お二人の希望を最大限にお伺いしながら、おもてなしのコースメニューを作り上げていきます。
大切に想うゲストの方々に喜んでいただけうためのプロセスも一生の思い出になるでしょう。
お二人とシェフの想いがゲストに届くと最上級のおもてなしが実現するのです。
山根流美味しさの秘密
基本とする料理の考え方は、素材に対する最適調理です。
どういう意味かと言うと、素材に対して最も適した調理方法で加工しようという事です。
それには、まず素材それぞれの美味しさ、美味しい状態を良く知らなければなりません。
美味しく焼けている肉の条件とは、「やわらかく」「ジューシー」「香りが良い」事だと思うのです。
その条件を満たすために、どのような調理を施すのか。結論的には、「炭火の熱源で、出来るだけ何にも触れず、全体に熱に包まれているような状態で、ゆっくりと、じんわり焼くこと」です。
塊の肉の場合、繊維のやわらかさを保つために、肉のまわりを焼き固める「リソレ」という技法も用いません。
肉汁を中に閉じ込めるために、肉の中心温度を約60℃ぐらいに保てるように、又、肉に傷を付けて肉汁を逃がさないように、特製のカゴ状のケースを作り、その中で回転させながら焼く機具を開発しました。(特許を取ってしまいました)
果物1つでも、切り方と温度とで、感じる香りや甘さがずいぶん変わります。
ワインを味わう時に、12℃とか15、16℃とか、それぞれのブドウ品種や熟成状態で温度を変えてサービスすることによって、香り、酸味、甘さにずいぶん違いがでる事と同じように思います。
野菜は、よほどアクがない限りできるだけ茹でず、旨みや香りを損失しないように加熱する方法を色々試しました。
基本的には、素材その物の持つ水分を使った蒸し煮や、蒸し焼。
180℃ぐらいの飽和蒸気の中で野菜を加熱したりするのも、最近お気に入りです。
このように、それぞれの素材に対して、その美味しさを一番引き出すための調理技術があるのです。
このようにした素材を僕は「最適調理済み素材」と呼んでいます。
さて、いよいよここからが料理です。「最適調理済み素材」をいくつか組み合わせて、
香り付けしたり味付けしたりして、1皿にまとめあげる事を僕は「料理」と呼びます。
この部分がイタリア人の食習慣、食文化、好みに沿っていればイタリア料理と呼ばれます。
さらに山根の考え方が入ると、山根流イタリアンになります。お分かりかと思いますが、
調理には理論と科学的根拠が必要になり、当然国籍はありません。
「やわらかく、ジューシー、香り良く」焼けている肉を、美味しくないと思う人はどこの国にもいないのです。
料理の国籍はおもに嗜好性にあると言えるのですが、この部分がちょっと難しくて。
鰻丼にどうして粉山椒をふりかけるのか、胡椒や七味じゃいけない理由を説明するのがとても難しく、
「だって鰻には山椒だ!」 山椒の刺激性で鰻のしつこさを和らげ、食欲を増すという考えは良く理解できますが、
日本人以外に鰻丼を目の前にして、「粉山椒ちょうだい」と即座に言う民族はいないのです。
この辺が日本料理、日本人の好みの料理と言って良いのだと思います。
イタリア人にも嗜好性においては理屈じゃない、色んな特徴があって、それがイタリア料理を特徴付けていると言えると思います。
素材の組み合わせ
基本的には、「美味しいものと美味しいものを合わせると、美味しすぎて美味しくなくなる」という事です。
わかりやすく説明すると、ウニにイクラにキャビアにアワビみたいな横綱級の美味しいものを組み合わせても、
お互いに消しあってしまって、食べた人にとっても贅沢ではあっても、うるさく、品のない一品になりかねないという事です。
大根など旨味の少ないものと、しっかりした旨味のあるブリの組み合わせなんかがとても素晴らしいように、
野菜の繊細な美味しさを殺さず、少しだけ別の素材から美味しさを借りてバランス良く仕上げるということが大事です。
ブリと大根のどちらが主役かということも大切な要素ですね。
売るための料理は少し御馳走すぎるのかも知れません。
ほうれん草みたいな青菜に千切りした生ハム(イタリアの旨味代表選手)をたっぷり添えて『おしたし』感覚で食べるとか、もっと野菜中心の料理があっても良いと思います。
フルーツの料理、まあデザートですが、生のフルーツというのはだいたい水っぽいものです。
だからそのままでは粉や卵などを使った生地などとは合いにくいです。
ところがジャム状に煮詰めると合うようになる。
僕はよくスタッフに言うのですが、「オレンジに生クリームが合うか?」
よくわからない?ところがフレッシュのオレンジジュースに生クリームを入れて混ぜたものは飲みたくないでしょう。
卵の入っている生地は基本的に甘く焼いた卵焼きみたいなものだから、
その卵焼きにマーマレードを塗って食べるのは、なんとなく美味しそうだけどオレンジの果実は合わないだろう、
生クリームは結構いけそう、というように自分にわかりやすいように分類し直して組み合わせを考えると
相性(素材同士だけでなく状態を変えてみると、また違う合い方をしたりする)が理解しやすいように思います。
料理の“キレ”
料理にはキレが必要です。日本人はよくキレという言葉を使います。「技のキレ」、「演技のキレ」とか。
でもその意味がよく分かりません。そこで料理における「キレ」とはどういうモノか具体的に考えてみましょう。
僕の考えるキレはシャープな感じだと思います。
- 酸味を使うことでキレを出せる。
この辺は比較的分かりやすいと思います。レモンを絞るだけでもシャープな印象になるでしょう。 - 辛さやピリ辛さ。胡椒、唐辛子をはじめとする辛さは、香りと共にキレを出してくれます。
- ハーブや草などの植物、豆などの青臭い香りはキレを出してくれて、反対にお肉の香りや油っぽい香りなどはキレが悪いです。
- 食感。シャキシャキやカリカリとした歯ごたえ、食感はシャープさが出る。
それに対してねっとり、とろーり、ベタベタという食感はキレが悪くなります。
油脂やバターなどがたっぷりの食べ物もキレが悪い、という事です。 - 油脂やクリームをあまり使わないことです。
- 大事な要素として、素材がピュアな状態で調理されていることです。
素材が混ざりっけなくクリーンな感じ、旨みなどを強くのせすぎていない事は、キレが良い状態だと思います。
この6つの項目の中の少なくとも2つか3つは条件として満たしている、全部でなくてよい。
ただし、一皿の中にキレの良い状態の素材がいくつか集まっていたりするのはOKです。